放射線取扱主任者試験対策室

放射線取扱主任者試験の勉強部屋

確率的影響と確定的影響

重要度:★★☆

放射線影響の分類方法には,①影響の発生と被ばく線量(しきい線量の有無)に着目したもの(確率的影響と確定的影響),②影響の出現する個体に着目したもの(身体的影響と遺伝的影響),③影響の発症する時期に着目したもの(急性影響と晩発影響)があります(図1).

図1. 放射線影響の分類

①確率的影響と確定的影響については,線量と発生頻度,線量と重篤度を表す図(図2)を描けるようにしてください.

また,主な確定的影響のしきい線量の値を覚えてください.


放射線影響は,しきい線量の有無により,①確率的影響と②確定的影響の2つに分類することができます.

しきい線量(しきい値

被ばく集団(その線量を被ばくした集団)の1%(100人に1人)に影響が生じる線量.(=影響が生じる最低の線量.)

それぞれにおける,線量と発生頻度,線量と重篤度の関係は,図2のようになります.

図2. 確率的影響と確定的影響の分類と特徴

確率的影響

しきい線量が存在せず,線量の増加に伴って発生頻度(発生率)が増加する形の影響.

重篤度(悪性度)は線量に依存しない.

確率的影響の例:がん,白血病,遺伝的影響(全て晩発影響)

 

確定的影響(組織反応)

しきい線量が存在し,線量の増加に伴って重篤度(悪性度)が増加する形の影響.

しきい線量は,組織や着目する影響によって異なる.

確定的影響の例:(急性影響)不妊,脱毛,皮膚紅斑,放射線肺炎など

(晩発影響)白内障,再生不良貧血,骨折(骨壊死),肺線維症,放射線脊髄症,穿孔など

 

主な確定的影響のしきい線量の値を表1に示します.

表1. 主な確定的影響のしきい線量
影響 しきい線量 影響 しきい線量
白血球(リンパ球)減少
0.25 Gy
皮膚障害
水晶体の混濁・白内障
0.5 Gy
脱毛
3 Gy
放射線宿酔
1 Gy
紅斑
3~6 Gy
放射線肺炎
6~8 Gy
潰瘍
10 Gy
一時的不妊
胎内被ばく
(男性)
0.15 Gy
胎児奇形
0.1 Gy
(女性)
0.65~1.5 Gy
0.2~0.4 Gy
永久不妊
発育遅延
0.5~1.0 Gy
(男性)
3.5~6 Gy
個体死(急性致死)
(女性)
2.5~6 Gy
骨髄死
3 Gy
   
消化管死
10 Gy